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私は、このシリーズの批評を末期のSJ誌でみた。確か一挙に発売されたのではなかったか。担当が誰だったかは覚えていない。内容も当然覚えていない。三森隆文氏が編集長を務めるようになった同誌の権威は、既に地に落ちていた。「又候レコード会社とTie-up（｢結託｣と訳す）した提灯記事のっけて、買収されて・・・」とよく読みもせず、当然、買いもせず、だった。確かこの前年に“Super Trio”を発表しており「何番煎じだよ！」との思いもあったような気もする。
それがこの度、未知の“Woodstock Jazz Festival 1,2”なるものを入手した際、そのそばでフッと目にし、「あー、これ、あの時のか」と10年以上も経って『浄められている』と思ったので、№1～4までを一挙に購入した。
いいではないか！どれもこれも。いずれのTrioも真摯で創造性豊かな演奏だ。Chickのpはキレもスピードもある。三人のベーシストのなかでは、特にChristian McBrideが素晴らしいと思った。“Super Trio”でも共演しているがこの人のbは音がいい。Gomezのように硬質な弦の響きではなく、柔らかいがb本来の「腹に響く」トーンでしかも輪郭がはっきりしている。ピチカートも驚異的だが決して「凄いでしょ」的なひけらかしがない。ボウイングも奇をてらったところがない自然な響きを聴かせる。4人のdsは、それぞれの個性を発揮しているが、中でもAntonio Sanchezは新鮮であった。
四作品いずれも良いデキだが、私は、McBride の入ったChillin' in Chelanを一番に、次にDeJohnetteがdsを務めたFrom Milesを、Chickのel-pが聴けSanchezがdsに座ったDr. Joeを三番目としたい。
しかし、これ、日本語のタイトルがよくない。「ワルツ・フォー・デビイ~ビル・エヴァンスに捧ぐ」。どこまでB Evansで釣るのか、捧げた形跡はどこにあるのか。よくない！！！。
最後に、この四作品は収録が、ワイナリー、ボールルーム、劇場、スタジオと全部異なるシチュエーションだが、録音がとても良いと聴いた。
